”ビックリマンチョコは最盛期には年間4億個も売り上げた”
という話は何かの折によく耳にするかと思います。
ですが、これって本当でしょうか?
いや、さすがにウソとは思ってないです。
ロッテに取材したであろう複数の情報で同じように語られていますし、
何ならITmediaオンラインの記事ではロッテの本原氏が自ら語っています。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1601/14/news004.html
とは言えリアルタイム世代でない人の認識が正しい保証も無い(かもしれない)ので、
調べられる限りでこの情報のウラを取ってみようというのが今回の趣旨です。
まず、1987年の写真週刊誌「フラッシュ」の記事から。(何月何日号かは控えてませんでした)
『爆発的に売れ出したのは一昨年8月、「悪魔対天使」のシリーズが始まってから。
これまで1億5千万個出荷、売り上げは40億円にものぼるという。』
とあるので、約2年間で1億5千万個となるとまだ4億個には遠く及びません。
ちなみにこの誌面の写真には第7弾のシールが写っていますので最盛期ではないですね。
次に公取委勧告を受けた直後、1988年9月の「経済界」より。

『現在では、一個三十円の商品にも拘らず、月商六億円にもなるという。』
とあります。
単純計算では月に2000万個。12か月で2億4千万個です。あれれ?
15弾か16弾の頃だと思いますが、最盛期はもう過ぎたのでしょうか。
同時期、「週刊読売」の記事には…。

『ロッテが月産八百万個、千三百万個と増産してフル操業しても、スーパーや小売店では品切れが続出した。』
と書かれています。
月産1300万では年間で1億5600万個。さらに少ないです。
なんだか雲行きが怪しくなってきました。
年間4億個という数字はどこから出てきたのでしょうか?
さてこちらは、1998年の伝説復刻版の問屋向けパンフレットになります。

ここには『最盛期には年間4億個もの売り上げを誇った』と書かれていて、
この時期には既に(少なくともロッテ側の認識としては)4億個になってました。
おそらく本原氏らの認識も、これと同じ社内情報に依るものと考えられます。
このパンフには売れ行きのグラフが書かれているのですが、
1988年7月が「ビックリマン第一次ブームの頂点」とあり、
グラフの数値は「800」を指しています。

数字は「首都圏12の販売店客1000人当たりの金額」だそうで、
販売個数や売上の実値ではないため増減の参考ぐらいにしかできなそうです。
また、1987年6月に「製造設備倍増」と書かれています。
これは先ほどの記事での「月産八百万個、千三百万個と増産」に相当する個所かと。
それ以降は設備の話は書かれていないので、MAX1300万個/月で確定でしょうか?
となると、やはり12か月フルに生産したとして1億5600万個/年となってしまいます。
年間4億個生産するとなると、月に3333万個生産する必要があるのですが
実は1988年までの間にさらに設備倍増してたんですかねえ…。
だとしたら記事やグラフに反映されてそうなものですけど。
そういえば週刊読売の記事の中で気になる記述がありました。
『今、大手チョコレートメーカーが頭を抱えているのは、九月下旬の一斉出荷である。
チョコレートは、気温三十度を超えると溶け出して商品価値がなくなってしまう。
このため、夏場は各メーカーが冷蔵庫に備蓄している。秋風が立つころ一斉に出荷するのだ。』
出せば売れるビックリマンといえども夏の暑さの前には出荷調整もあったとすると、
月産1300万個でも出荷数を増減させることで、月2000万ぐらいの時はあったかもしれません。
この数字はフラッシュの記事とは符合しますが、それでも年間2億4千万。
まして売れ行きグラフによる「第一次ブームの頂点」は7月、つまり真夏なんですよね…。
第一、ビックリマンで出荷調整するとなると中のシールの弾がズレてしまいますし、
そもそも月ごとにばらつきがあるなら最高値を12倍して年間数にしちゃいかんです。
ということで
ロッテが自社の生産数を把握してないとは考えにくいのですけど…
…もしかして、盛ってる??
いえいえそんなことは無いでしょう!
私の調査が不完全なだけ!そうに決まってます!
いや真面目に情報が足りているとは思っていないので、何か補完情報お持ちの方がいれば
教えていただけると大変助かります。
…今回のネタ、年間4億個を達成した時期のヘッドを特定して
(多分ヤマト爆神かアンドロココだと思ったので)
某鬼滅の人にちなんで「4億の男」というネタにしようと思ってたのですが
当初の想定とは大きく違う方向に変わってしまいました…。
でも多分こっちの話のほうが面白いので結果オーライです(笑)
【12/24追記】
コブラのマーチさん(@cobra_no_march)より追加情報をいただきました。
4億個には届かないまでも、約3.2億個まではありえそうです。
伝説復刻版の問屋向けパンフレットに書かれている年間4億個という数字と折れ線グラフは、元々は『にっけいでざいん1989年9月号』に掲載されていたものだと思います。同誌のグラフには月平均の出荷金額も載っています。4億個の売り上げを記録したのはおそらく1988年だと思われます。 pic.twitter.com/cTyg0qZDpm
— コブラのマーチ@周回遅れのBMコレクター (@cobra_no_march) December 23, 2025
1988年11月22日『日経産業新聞』によると、めいっぱいの生産で月間約8億円。約8億円=2600〜2700万個の生産ですから、年間4億個を賄うには足りません。が、1986年12月12日『毎日新聞』に外注生産を行っている旨が書かれているので、それと合わせれば年間4億個以上の生産が可能だったのかなと思います。 pic.twitter.com/wv6dwUcBco
— コブラのマーチ@周回遅れのBMコレクター (@cobra_no_march) December 23, 2025




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